a few fragments
その日は、たしかゼミの輪講があったと思う。
夕方学校を出た時はもうすっかり暗くなっていて
珈琲屋にも、神保町のレコード屋にも寄るのをやめ
お茶の水の駅に向かって坂を上っていった。
丁度丸善の前まできて、道を渡ろうとした時に
前を歩く男が持っていた、タブロイド版の夕刊紙の見出し文字が眼に入った。
そこに書かれていたことは、意味がよく、判らなかった。
でも、間違いなく彼の名前だった。
気になって、電車のなかで、同じ新聞を読んでいる人が
いないか、探した。
家に帰って、テレビをつけて、ニュースでようやく理解した。
でももちろん俄には信じられなかった。
1980年の今日12月8日に、自分はどこにいたか。
そのくらいしか、覚えてない。
ただくわえ煙草の男のコートが、黒いマッキントッシュだったのと
タブロイド版の夕刊紙の白抜きの文字だけが
どういう訳か記憶に残っている。
随分前に、ニューヨークに行った時
その現場にモニュメントがあるって聞いてて
でも、結局行かなかった。
旅の最中にカミサンに何度も行かないの、って聞かれて
興味のない返事をした。
何故だったのか
もしかしたら、27年たった今も
あまり信じていないのかもしれないと思ったりする。
時々。
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